「マタハラ」
「マタハラ」
2015年4月 西日本新聞から
妊娠や出産をきっかけに、嫌がらせをされたり、解雇や降格などの不利益を被ったりする
「マタニティーハラスメント」(マタハラ)。連合の調査では、働く女性の5人に1人が経験している。マタハラの現状について知り、これからの働き方を考えるイベントが3月30日、東京都内で開かれた。
イベントは、マタハラの被害者支援に取り組む団体「マタハラNet」代表の小酒部さやかさんが、米国務省が選ぶ「世界の勇気ある女性賞」を日本人として初めて受賞したことを記念し、同団体と趣旨に賛同する団体が協力して開いた。
「マタハラNet」は、1月に行った実態調査の結果を公表。被害女性186人の回答を分析したところ、企業規模の大小を問わずマタハラが起きていることや、加害者は男女共にいることが浮き彫りになったという。労働環境は、「残業が当たり前で8時間以上の勤務が多い」と答えた人が38%、有給休暇を一度も取得していない、年1~2日しか取得していない人が計44%だった。
小酒部さんは「マタハラがはびこる原因は、性別役割分業意識と長時間労働。なくすためには、働き方を見直す必要がある」と強調。授賞式のために訪れた米国では、行く先々で「先進国の日本でなぜマタハラが起きるのか」と質問されたことに触れ、「日本は30年遅れている。この現状を真剣に受け止めなければならない」と力を込めた。
厚生労働省は、昨年10月の最高裁判決を受け、妊娠や出産、復職などから1年以内の降格や契約打ち切りなどの不利益な扱いは原則、男女雇用機会均等法などに違反するとし、悪質な企業名を公表するとの方針を決めた。また本年度中に初の実態調査を行うなど、マタハラ対策に本格的に乗り出す計画だ。