同一賃金同一労働について考える
「同一労働同一賃金」大企業では2020年4月、中小も2021年から導入へ
2018年6月29日、働き方改革関連法が成立しました。給与、賞与、福利厚生など、、、
同一労働同一賃金が目指すのは、正規か非正規かという雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇の確保。
具体的には、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消をはかるために両者を比較し、前提が同じなら待遇も同じ(均等)、前提が異なるなら、バランスのとれた待遇(均衡)を求めるものです。
待遇差の改善といっても給与、賞与、福利厚生など、何がどこまで求められるのか、分かりづらい。
同一労働同一賃金の目的は非正規労働者の待遇改善なので、均等・均衡をベースに待遇を見直した結果、労働者の待遇を下げるようなことがあってはならないのです。
同一労働同一賃金、給与における待遇差のアリ・ナシ
正規と非正規で賃金テーブルや賃金の支給基準が異なるという会社は非常に多いと思います。また、賃金テーブルや賃金の明確な支給基準自体が存在しないという会社も数多く存在するのではないでしょうか。
また、厚生労働省「平成21年就労条件総合調査」 によると、非管理職社員の賃金表がある企業の割合は、従業員数33〜99人規模の企業では65.3%にとどまります。
賃金テーブルや給与の支給基準が存在しないという問題を棚上げしたままでは、同一労働同一賃金を考えることは不可能です。
まずは、職務や能力等を明確化しましょう。そして、その職務や能力等と給与等の待遇との関係を含めた処遇全体を確認し、明確に説明できる状態に変えていくことが必要です。
その上で、正規・非正規の間に待遇差がある場合は、どんな考慮要素をもとに待遇に差を設けたのか具体的に説明できる状態にしておくことが求められているのです。
同一労働同一賃金の問題点2. 基本給に付随して支給される手当なら待遇差はOK?
基本給同様に、正規と非正規で支給対象となる手当を分けている会社は多いと思います。しかし、手当の支給要件ごとに待遇差の合理性を検討していくと、ほとんどの手当は同様の支給が求められるという判断になります。
このほか、出張旅費などの規程も宿泊費の上限額や日当に関して、正規と非正規の間に不合理な待遇差などないかなども、もれなく確認する必要がある
同一賃金同一労働の問題点3. 賞与にも均等・均衡が求められる?
賞与はもともと支給自体が確約されたものではないため別と考えてもよいか?というと、そんなことはありません。
実は、非正規社員には賞与を支給していない、雇用形態ごとに異なる支給基準を設けているという場合は、見直しが必要です。
賞与も給料同様に前提が同じであれば同じだけの支給が求められ、前提が異なるのであれば異なる程度に応じてバランスのとれた支給が必要。
待遇の見直しによって正規・非正規社員の待遇悪化があってはならないとされていますので、基準の見直しと同時に賞与原資額の増額も当然必要になります。
「非正規に励み」「画期的な判決」
ボーナス不支給違法判断、大阪高裁事例
「非正規に励み」「画期的な判決」 ボーナス不支給違法判断、大阪高裁 | 毎日新聞
「全国の非正規労働者にとって励みになる判決」。大阪高裁が15日、アルバイトに賞与(ボーナス)を支給しないのは違法とする判断を示した。全面敗訴だった1審判決から1…
同一労働同一賃金の問題点4. その他の福利厚生なども対象になる?
同一労働同一賃金による待遇差の改善、福利厚生についても改善が必要です。
食堂や休憩室、更衣室など福利厚生施設の利用
同一の権利を提供する必要があります。
慶弔休暇
同様の権利を提供する必要があります。ただし、月の就業日数の差やシフト勤務の実態を踏まえ、勤務日振替での対応を基本としつつ、振替が困難な場合のみ慶弔休暇を付与する等の取り扱いは、問題ありません。
病気休職
同様の権利を付与する必要があります。ただし、労働契約の残存期間を超えた病気休職の付与まで必要とはされておらず、病気休職の期間を契約期間の終了日までとすることは問題ありません。
リフレッシュ休暇
同様の権利を付与する必要があります。雇用形態を問わず付与対象とすることは必要ですが、フルタイム労働者とパートタイム労働者の間で、労働時間に比例した差をつけることは問題ないようです。