「女性の活躍③」 

「女性の活躍③」     

 20155月  日経新聞より

政府は専業主婦らがいる世帯の所得税を軽くする配偶者控除を2017年にも見直す検討に入った。配偶者控除を意識して女性が就労時間を抑えるケースが目立つため、働きやすい制度に改めて共働きの子育て世帯を後押しする。夫婦単位で一定額の新たな控除を創設する案などを検討する。安倍政権が推し進める「女性活躍」の目玉政策として成長戦略に盛り込む考えだ。

 政府が6月にもまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に方向性を明記し、政府税調が具体案を詰める。来年1月召集の通常国会で関連法案が成立すれば17年1月から新制度が導入される見通しだ。

 配偶者控除は妻の年収が103万円以下なら夫の課税所得から38万円の控除が受けられる制度。約1400万人に適用している。夫の年収が600万円なら税負担が万円程度軽くなる。「103万円の壁」が女性の働く意欲をそいでいるといわれている。

 新制度は政府税調が昨年まとめた改革案を参考に具体化する。配偶者控除を廃止し妻の年収に関係なく夫婦の所得から一定額の控除を認める「夫婦控除」を創設する案が軸になる見通しだ。収入の多い夫か妻の所得から一定額を控除するなどの案が検討されている。

妻がフルタイムで働く世帯にも一律に適用されるため、仕事の時間を抑える必要が少なくなる。適用対象者は現在よりも大幅に増える見込みだが、高所得の世帯には控除額を縮小したり適用外にしたりする所得制限も検討する。年6000億円の減税規模は維持する。

 夫婦の所得や課税額から一定額を控除する制度を導入する案や、配偶者控除を廃止したうえで、課税額を軽減するなどして子育て支援を手厚くする案もある。政府は成長の担い手である若い世代を重視する観点から個人所得税全体も見直す。若い低所得の世帯の負担を減らす方向だ。